そもそも無気力というのは、集中力が弱く、好奇心が多方面に分散していて、社会が定める気力の枠(学業、仕事、趣味などに没頭できる気力の一般の水準)を越えられないことをいいます。一般社会のことに気力を向けることはないために、社会からは無気力といわれています。
単純に無気力というならば、まさに気力が(活動の源泉となるものが)無いために、その人は死んでいることになりましょう。そのため、ここでは「無気力の人」というのを「一般社会のことに気力を向けない若者」とします。
その若者が無気力になる原因とは何か。若者の無気力にいったいどう向き合うことが望ましいのか。何をいっても耳を貸してくれないようなら、その若者を囲んでいる環境を変えることです。その方法を本文で詳しくみていきます。
若者とはだれか?
先に述べたように、無気力というのは、一般社会のことに気力を向けないでいるために社会から無気力と思われている、そのことをいいます。だから無気力の人というのは、概ね、まだ社会経験を十分に積んでいない若者があてはまる。そして若者とは、家族を除き会社や学校などの社会に出はじめた年代(10〜20代)の人といえましょう。
若者の無気力の原因は何か?
若者の無気力の原因としては、第一に世の中の雰囲気が無気力であることを、第二にかれらが目的をもたないことを、第三にスマートフォンの使用による生活習慣の乱れと社会との疎外感を挙げることができます。なぜそういえるのか、また、それぞれの原因を以下に詳しくみていきましょう。
一、世の中の雰囲気が無気力であること
会社や学校において、その場の雰囲気が暗いようならば、その場における人が明るく快活に振る舞うことはむずかしい。というのも人はその場の雰囲気を変えないようこれに合わせようとするからです。だからして世の中の雰囲気が無気力であるようなら、若者を含め人はみな無気力となりやすい。
世の中の雰囲気が無気力であるかどうかは経済(ある社会の健康状態)をみるとわかります。たとえば、高度経済成長期(1950-1973年)にはその雰囲気は明るく解放的なようですが、その終わり頃から、バブル期を除き、令和に至っては(1973-1986, 1992-2020)その雰囲気は暗うつで重たげです。
私たち人は、世の中の雰囲気に絶対に影響を受けるため、若者を含め、人の無気力というのは一つの時代の病といえましょう。
私は令和の世の雰囲気は明るく勢いづいているように感じます。ただ一人一人が社会に独りでいるようなので、この孤独感・疎外感をあらためなければ若者の無気力を解決することはできないと思います。
二、目的をもっていないこと
いかなる世代に生きる人であれ、人は目的をもたなければ無気力に向かう。
犬や猫は無気力にならず、無気力になるのは人だけです。それというのも人は目的をもつ力をもっており、その目的に向かって動くことが人の本来のあり方だからです。
たいてい成功者とよばれる気力にみなぎる人は、目的をもっています。けれども無気力の人は、気力が多方面に分散しているため、進むべき方向を見失っている、あるいは労力を徒に浪費しています。
三、スマートフォンの使用
2007年にはIPhone(スマートフォン)が世の中に登場します。スマートフォンは世の中にとっては突然変異のウイルスのようなものであって、私たち一人一人という免疫体は、とくに若者は、いまも苦しく抵抗しているように思います。
スマートフォンの使用による問題としては、ひとつは「ブルーライトによる生活習慣の乱れ」を、いまひとつは「社会との疎外感」を挙げることができます。
スマートフォンの使用は深刻な問題であるため、この問題をさらに詳しく検討したいと思います。
ブルーライトによる生活習慣の乱れ
ブルーライトは陽の光にちかいエネルギーの強い光で、朝に浴びると体内時計を整えられ、夜に浴びると体内時計を狂わせるといわれています。スマートフォンを含めテレビやパソコンそのほかさまざまな光源からブルーライトが放たれています。
古くより人は朝起きてから日の光を浴びます。それが人のリズムの整った生活習慣です。ところがスマートフォンが世の中にあらわれると、夜にブルーライトを浴びるようになり、人の生活習慣は乱れることになります。これによって睡眠の質は悪くなり、日中に十分な気力を出せなくなり、それが(若者の)無気力になるのです。※
※人の気力はたえずどこかに向いている。
社会との疎外感
人と人とが直に会話する時間は失われ、その代わりにスマートフォンを触る時間に流れています。どこでもカフェやレストランに行ってぐるりとまわりを見渡してみるとみな顔が死んでいます。
会話とは人と社会とがつながる糸を強固に結ぶことで、会話をすることで人は社会に己の存在をより確かに認めることができます。会社でも会話をしないと、その人と会社とのつながりは弱いものとなるため、そこでは労働の喜びを感じづらくなります。だから会社に気力を向けることはなく、会社から無気力といわれるようになるのです。
そのほか考えられる原因
若者の無気力の原因として、世の雰囲気が無気力であること、目的をもっていないこと、スマートフォンの使用(による生活習慣の乱れと社会との疎外感)、これら三つの原因を挙げました。このほかに考えられる原因としては、大気汚染と栄養不足と運動不足とを挙げることができるでしょう。
若者の無気力の解決方法
何をいっても耳を貸してくれない若者と向き合うためには、かれらを囲んでいる環境を変えることです。若者の無気力という問題を解決するためには、これこれをせよとかれらに指示をするのではなく、これこれをせねばまずいとかれらに察してもらうことが肝心です。
それはいってみるなら政治であり、いかにして民の気に触らないように良い行動をしてもらうかという最善の政策です。ですから政治家になったつもりで、若者の無気力をうまく解決していきましょう。
一、立てやすい目標を準備する
目標がなければ人は無気力に向かいます(その辺をふらふらと歩くことになる)。目標は、はっきりと具体的に見えなければならず、さもなければすぐに目標を見失うことになるでしょう。
会社でも学校でも、若者が立てやすい目標を準備するなら、若者はふらふらと歩くことを止めて、目標にたどり着こうと堂々たる足どりで歩きはじめます。
とくに会社の代表者は目標を立てる力に優れており、それだから今の地位にいるわけで、そういう人が率先して立てやすい目標を準備するなら、若者と会社とのつながりも強固に結ばれることになるでしょう。
※立てやすい目標というのは、この時点で若者の目標であってはならない。狩をするように、あそこの辺には獲物がいるぞとそれとなく伝えなければならない。(あの獲物を狙えとは決していわないこと)
二、企業研修にスマートフォン講義を
スマートフォンの使用が人に及ぼす影響は、夥しいほどの数の著作物(本、論文など)により伝えられています。にもかかわらず人がスマートフォンをやめられないわけはどうしてか?それは他人にやめろといわれると反発してやりたくなる人の性と、じぶん事としてみない無関心と、スマートフォンを手放したら実際のつながりを失うことになる恐れとを挙げることができるでしょう。
先に述べたなかで容易に変えることができるのはじぶん事としてみない無関心です。だから企業研修の機会を用いて、スマートフォンの甚大なる影響を、社員に徹底して周知しなければなりません。
学校では性の講義よりも、スマートフォンの講義をまずするべきでしょう。これは学生のみならず先生の気力をも良くできることです。
まとめ
若者の無気力の原因を、そもそも世の中の雰囲気が無気力であることや、目的をもっていないこと、スマートフォンの使用による生活習慣の乱れないし社会との疎外感であるといいました。人の力では世の中の雰囲気を変えることはできず、したがって若者の無気力を解決するためには、若者に目的をもってもらうようにはたらきかけること、スマートフォンの使用が及ぼす害をじぶん事としてとらえてもらうことが肝心です。
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