五段活用を覚えて何になる?
五段活用を覚えるわけは、古典作品を正しく読むためにほかなりません。古典作品を正しく読むというのは、読み手が作り手の感覚を読むことにほかならない。いやしくも古典の称号を授けられた作り手は凡人の目では見えぬところまで見えているので、読み手はその繊細霊妙な感覚の理解に努めることによって、理解した分だけ、じぶんもその繊細霊妙な感覚を養うことができます。
私たちは理解できることだけを理解するので、じぶんの理解力の範囲にしたがって作品の凄みを感じます。だから理解力の範囲が狭ければ狭いほど、何が凄いのかを理解することはなく、理解に努めないかぎり一向に成長することはありません。
すなわち五段活用を覚えると、古典作品を正しく読めるようになり、じぶんの理解力の範囲を広げられ、その繊細霊妙な感覚を養うことができるといえます。このようにいうと「古典とは実学なのか」と思われてしまうかもしれません。たしかに古典は英語や理科などと同じように実学ではあるけれども、単に古典を実学としてとらえてしまうと、やはり理解力の範囲も実学に限定されてしまい、そこにこもる霊感とよぶべき感覚を見ることも養うこともできなくなります。
私たちの身体は同質なものだけを受け容れることができるので、受験のために古典を読むという心構えなら受験の古典しか知れず、あるいは芸術のために古典を読むという心構えなら芸術の古典を知れるといえます。
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