機嫌が悪いときには、他人が書いた文章を読むことにも腹が立ち、むしゃくしゃして、消してしまいたいと思うかもしれません。それでも人間嫌いにならず、言論嫌いにならず、しばしお付き合いください。
なんとも奇妙なことかもしれませんが、機嫌が良いときよりも、機嫌が悪いときに成長のチャンスがあるのです。というのも、機嫌が良いときには浮かれてしまって小さな汚点を見落とすことがありますが、機嫌が悪いときには不信の念から用心深くなりまた目利きになるからです。
だから機嫌が悪いときにこそ、それまで見に入らなかった物事の暗い面や小さな点がくっきりと浮かびあがり明らかに見えるようになるのです。
この記事では、そもそも機嫌とはどういう意味のことばであるのか、また、機嫌が悪いときに成長する例について書いていきます。
機嫌とは?
そもそも「機嫌」とは、しかけ・はたらき(機)の意と、他者に対する不信の念(嫌)の意とからなることばです。ご機嫌をとるというと、主君から、臣下のはたらきに対する不信の念をとる(不安を解消する)ようなさまを思い浮かべられます。
そして機嫌が悪いとは、その他者に対する不信の念がふうせんのように膨らみ、今にも破裂せんばかりの感じです。まさに一触即発の危ない状態ですので、とるに足らないことにも神経過敏になります。
・機嫌の意味は白川静『字通』を参照
機嫌が悪いときに、成長のチャンスがあるわけ
主君の機嫌が悪いときには、あらゆる物事に不信の念をいだいているので、いやに目が光ります。自分で見ぬもの触れぬものは、ないも同然。あらゆる物事を疑ってみてかかるので、それまで見落としていた・見過ごしていた小さな汚点を見つけ出し、くどくどしく文句をいうようになります。これはまさに〈見かけに惑わされず、本質を見抜く〉という批判的に思考をしている状態にほかなりません。そして成長は、物事の本質を見抜くことからはじまります。
物事を疑ってみると、大発見がある
だから機嫌が悪いときにこそ成長のチャンスがあるのです。物事に対する大きな不信の念をいだいていれば、その存在に光をむけ、闇雲に、得体の知れぬ不思議な何かを見つけることができるでしょう。機嫌が悪いときにこそ成長のチャンスがあることを思って、今の自分を大いに喜びましょう。
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