心動いたことに対して「ありがとう」と礼をいうこと、またそう心で思うことは感謝です。日常心動くことはそうはあらず、だから感謝をするのは稀なことかもしれません。
心動くことなく感謝をしているならば、それは教育の成果、感謝というよりは慣習で、なんとなくの無自覚の思いというものでしょう。これでは感謝をしても相手に伝わることも豊かになることもありますまい。心動いたことに対するその過程を思いみながら「ありがとう」と礼をいう、またそう心で思うことが真の感謝です。この感謝をする人ほど豊かになるというわけを本文で解説していきます。
感謝をすると「思いみる力」を養える
プレゼントをもらう場面を想定してみると、プレゼントのもらい手は、贈り手のきもちやプレゼントを購入するまでに費やしたであろう諸々の時間に対して、その過程を思いみながら感謝をします。プレゼントのもらい手は感謝をするさいに「雨のなか」や「忙しいところ」などと贈り手の行為の過程を思いみています。感謝をすると豊かになるというのは、この行為の過程を「思いみる力」を養えるからです。
働く人に感謝をすると
感謝をして「思いみる力」を養い、豊かになるというのはこういうことです。
コンビニやスーパーで買い物をしてお金を支払うさい、そこで働く人たちに感謝をします。そこで働く人がいなければ、買い物をするにも遠くへ行かなければならず、動物的な生活に囚われてしまいます。そこで働く人に感謝をするのみならず、店をつくる大工や建築家、食品を搬入する物流業者、魚を買うなら漁師、肉を買うなら畜産業者などの働きを思いみるその様子をより鮮明により具体的に感謝をするなら「思いみる力」をはるかに向上させることができます。
この「思いみる力」をいいかえるなら理解力で、私たちはみずからの理解力に基づいて他者を理解します。嫌いな他者を理解する力をもっていれば、それだけ他者を受け容れることができるので、人格も豊かになるのです。
感謝をすると、行動力が上がる
そしてまた、私たちの行動は思考に大きく影響されます。たとえば二つの食物があってかたや新鮮でかたや腐食しているならば、だれもが新鮮な食物をとるでしょう。行動は思考に大きく影響されるので、何かを「思いみる力」が強ければ強いほど行動を勢い凄まじくすることができます。
そもそも生物の本能は、快楽というよりは苦痛を逃れるためにあるものです。犬や猫などは、腹が減らなければ眠っているだけで、空腹を凌ぐそのために行動をしています。飢餓から解放されてから人にとっての苦痛は飽きること(退屈)です。日常に飽きると、その日常の苦痛から逃れるために新しさを求めるようになります。そして、いろいろに新しさが勃発するこの世のなかでは、物事に飽きるよりも先に死に見舞われます。だから私たち現代人の行動を駆り立てるものはただ「思いみる力」となるわけです。「このままの生活をつづけると破滅する……」という現在からみた未来の苦痛を思いみる力が自分を動機づけ行動に駆り立てるのです。
感謝をすると豊かになるのは、感謝をすると「思いみる力」を養うことができるからです。現在からみた未来の苦痛を思いみることによって、生物の本能が目覚め、目標に向かって自分を勢いよく行動に駆り立てることができます。ただなんとなく無自覚に感謝をするのではなく、その行為の過程を具体的に思いみて感謝をするなら、相手に感謝のきもちが伝わることはいわずもがな。
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