一部では不朽の名著といわれる『うまくいっている人の考え方』(著者ジェリー・ミンチントン、編者弓馬隆)という本を読んで、はてうまくいっている人の考え方とは何かを考えてみますと、それは物事への「自惚」と「反省」という二つで一つの考え方ではないでしょうか。
たとえば同書には百ある格言のうち〈地位や財産で人を判断しない〉という項目があります。この項目にあてはまるとき、自惚れた読者(私)は、といっても控えめな自惚れですが、「これはまさに私だ、すでにできていることだ!」と思います。ここから読みとれることは、「自惚」の美点は、コミュニティに積極的に参加するような姿勢と、自分の長所をみている(自分の理解が進んでいる)ということです。
しかしただ自惚れるだけでは、自分の短所がみえていない。むしろ自惚れることで自分の短所があらわになっている。短い物に巻かれるのはいやだということで、みんなが逃げてゆきます。そこでもうひとつ「反省」をしてみます。自惚れるのはすばらしいのですが、先の〈地位や財産で人を判断しない〉というのは、ただ単に、不朽の名著といわれる同書の著者ジェリー・ミンチントンの一格言であり、その格言が真理であるかどうかはわかりません。不朽の名著という地位(権威)に酔わされて、この格言を安直に(これはまさに私だ!と)信じてしまうのは、いろいろな人に騙されてしまう愚直にほかなりません。だから自惚だけで反省しないような人びとは、自分ではうまくいっている気になっていますが、はたからしてみるともうみていられないのです……
うまくいっているというのが何なのか定かではありませんが、多分に「自惚」と「反省」とはうまくいっている人の考え方のように思います。
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