モチベーションマネジメントをいいかえるなら、自分の意欲を管理するすべです。みずから進路を定め、定めた進路に向かい行動することをいいます。
芸術やスポーツ、学問などあらゆる分野において、自分のモチベーションマネジメントをできるのかどうかがその路の成功と失敗とを分ける分岐路といえます。それはまた、人生の喜悦と苦悩との分かれ路ともいえるでしょう。
本文では、モチベーションマネジメントということばの意味を語源から汲みとり、現代社会におけるその必要を解説します。
モチベーションマネジメントの意味
先に記したとおり、モチベーションマネジメントの意味は、自分の意欲を管理するすべです。程度の差こそあれ、だれもがこのすべを身につけています。みずから進路を定め、定めた進路に向かい行動すること。ことばの語源から考えて、この意味がモチベーションマネジメントの訳語に相応しいと思われます。
どのようなことばであれ、ことばの意味を理解するには、ことばの語源をみることが大切です。ことばは映像の込められた記号であり、そのことばの原初的な映像をみることで、その本来的な意味をつかむことができるからです。だから「モチベーション」と「マネジメント」との語源をみて、その意味をその源泉から汲みとります。
モチベーションの語源と意味と
モチベーション(motivation)は、気(氣)や意欲、動機などと訳される語です。モチベーションの語源は古フランス語のモチーフ(motif)で、思想・創作の一貫した主題、作品を貫く方法の意味。そこから中世ラテン語の動き(motivus)、中世英語の動機(motive)に派生して、意志の行動を誘発する精神状態または力の意味となります。
天界から力を与えられるような意味の「モチベーション」を、神秘的なことばの「意欲」(意は神意をおしはかる、欲は神の容を拝するを願う)と訳するのは相応しいでしょう。
モチベーションの類義語にはパッションがありますが、パッションが情熱をすなわち情慾をあらわすのに対し、モチベーションは冷静知的な熱意をすなわち意欲をあらわします。
マネジメントの語源と意味と
また、マネジメント(management)は、経営や管理などと訳される語です。ラテン語のマニュス(manus)を語源とし、右手左手など手の意。そこからイタリア語で馬の操作を意味するマネジャー(maneggiare)、そしてマネージ(manage)に派生します。この語源を考えて、自分自身を(目的に向かい)操作する・管理する意味をマネジメントということができます。
ところで企業の経営というと、社会に生きる企業を持続的に安定・成長させることをいいます。企業を構成する労働者とその顧客との本質は絶える間なく運動することです。だから、企業を持続的に安定・成長させるためには、人の体調のように管理を必要とします。
モチベーションマネジメントの必要
意欲を管理するすべを身につけることは、人間に与えられた特権で、労働です。この労働を蔑ろにすると、死ぬまで憂鬱に苦しみながら人生を送ることになります。それというのも、それぞれの生物にはそれぞれの役割があり、人間に与えられた役割は生の苦悩で、生の苦悩をいかにしてたわめるのかが意欲を管理するすべだからです。
たいてい人は生の苦悩から死を思うけれども、生きることの未練から死にゆくことも躊躇い、方向を喪失し、生の路上をふらふらよろめき歩きます。これが社会に対する無気力の原因です。社会に対する無気力を修正するために、モチベーションマネジメントの必要が生まれます。
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